企業に必要な防災訓練
防災訓練の必要性
1. 従業員と顧客の命を守るため
企業には、従業員や顧客の命を守る責任があります。防災訓練は、非常時に必要な行動を従業員に理解させる重要な機会です。東日本大震災では「釜石の奇跡」として知られる事例があり、防災教育や訓練により多くの命が救われました。地震や津波、火災などの災害に備えることで、従業員や顧客の安全を確保するための対策を実施することが重要です。
2. 事業継続のため
企業にとって、災害による業務の中断は取引先にも影響を与える可能性があります。被害を最小限に抑え、早期に事業を再開するためにも、防災訓練を含むBCP(事業継続計画)の策定が必要です。事業を継続するための対策を事前に立てておきましょう。
3. 顧客への損害を防ぐため
災害による事業の停滞は、顧客に対しても影響を及ぼします。納期遅れやサービス提供の中断などが発生する可能性がありますが、企業として顧客への影響を最小限に抑えるためにも、防災訓練は定期的に行うべきです。
防災訓練は企業の義務
「消防法第36条(防災管理定期点検報告)」に基づき、大規模な建物では防災管理の実施が義務付けられています。
さらに、年に1回以上、避難訓練やその他の防災訓練を実施する必要があります。
防災訓練の実施頻度は、特定用途防火対象物と非特定用途対象物で異なり、消防計画に従って消火訓練や通報訓練を同時に実施する場合もあります。
訓練の回数や内容は建物の用途や規模によって異なるため、自社のルールや規定を事前に確認しておくことが重要です。
企業が実施すべき防災訓練の種類
通報訓練
火災被害を最小限に抑えるためには、早期発見と初動対応が鍵です。通報訓練では、火災発生時に適切な行動を学び、状況に応じた初動対応を身につけます。
従業員が直接火災を発見した場合や自動火災報知設備が作動した場合など、異なるシナリオに対応する訓練を行いましょう。
何よりも自身の安全を最優先に考え、安全が確認できたら落ち着いて119番通報を行うことが重要です。
消防車が到着するまでには平均5分以上かかるため、迅速な通報が求められます。
小規模の火災や既に鎮火している場合でも、火災を確認した際には必ず119番通報が必要です。
落ち着いて通報できるよう、模擬通報訓練を通じて実践力を高めましょう。
初期消火訓練
初期消火訓練は、火災発生直後に消火を試みるための重要な訓練です。
この訓練では、消火器の使用方法や周囲への警告、効果的な消火手順を学びます。
実際に火を消す機会は限られるかもしれませんが、火災を発見してからの初期対応を一通りシミュレーションすることで、実践的な訓練が可能です。
初期消火が可能とされるのは、「火が天井に達する前」「出火から3分以内」「煙が充満していない」場合です。
消火活動は迅速な対応が求められ、リスクも伴います。
そのため、消火器の操作だけでなく、設置場所の確認や消防への通報手順も合わせて訓練することが重要です。
応急手当訓練
応急手当の訓練では、心肺蘇生(CPR)、AEDの使用方法、止血、三角巾の使い方、人工呼吸や心臓マッサージなど、命を救うために欠かせないスキルを学びます。
通常、東京23区内で救急車が到着するまでの時間は約7〜8分ですが、災害時には救急車の到着が遅れる可能性があり、病院でも重傷者が優先されるため、すぐに医療を受けるのが難しい場合があります。
そのため、軽傷の場合は自分や周囲の人たちで応急処置ができるように、日頃から訓練を積んでおくことが非常に重要です。
救助訓練
救助訓練では、閉じ込めや転倒した備品の下敷きになる状況を想定し、工具や担架を使って負傷者の救出と搬送を行います。
訓練には、消防隊のクレーンや消防車も登場し、救助ロープなどの器具の使い方を学べる機会があります。
救助の手順を知ることで、災害時に冷静に対応でき、消防隊員からは救助に必要な心構えも学べます。
特に、職場では大きなオフィス機器が多く、一人での救助が困難な場合もあるため、工具や担架、階段避難車の使い方に慣れておくことが重要です。
避難訓練
避難訓練は、災害発生時に安全な場所へ迅速に避難するための重要な訓練です。
地震時には机の下に隠れたり、火災時には避難経路を通って安全に脱出したり、津波や洪水時には高台へ移動するなど、さまざまな場面を想定しています。
企業の防災訓練の一環として行われることが多いですが、訓練がマンネリ化しないように工夫が必要です。
例えば、地震時に素早く身を守るシェイクアウト訓練を組み合わせるのも有効です。
訓練では、実際に避難経路を歩いて確認し、誘導係の役割や担架、車いす用昇降機の位置、防火扉やシャッターの操作なども併せて確認しましょう。
また、火災を想定した場合には、ハンカチなどで口を覆い、姿勢を低くして煙を吸わないようにしながら避難する練習も行います。
避難経路として階段や通路を使用する場合は、物が放置されていないか確認し、常に整理整頓を心がけましょう。
避難器具を使う場合は、器具の使い方を覚え、消防機関や専門家の立ち合いのもとで実践することが大切です。
帰宅困難対策訓練
大規模災害時には、従業員が帰宅困難者になる可能性があります。
そのため、企業は従業員の帰宅計画の策定やシミュレーション、食料や水の備蓄、連絡手段の確認を行うことが重要です。
また、移動が制限される状況に備え、一定期間の社内滞在に必要な設備や備品の準備、一時滞在場所の確保も検討する必要があります。
訓練としては、会社に宿泊するシミュレーションや、職場から自宅への徒歩帰宅訓練を実施するのも効果的です。
宿泊時の社内レイアウトや備品の確認、実際に徒歩で帰宅ルートを歩いてみるなど、現実的な状況を想定して対策を進めましょう。
帰宅困難対策訓練
緊急連絡網の整備や情報収集・伝達方法の確認と実施は重要です。
災害時にはインターネットや電話が混雑・途絶する可能性があるため、状況に応じた適切な情報収集方法を考える必要があります。
従業員や顧客の安否、地域の被災状況、今後予測される災害について、誰がどのように情報を収集し、どのように伝達するかを事前に確認しておきましょう。
安否確認訓練
企業において、従業員の安全は最も重要な課題の一つです。
特に緊急事態が発生した際には、迅速かつ正確な安否確認が欠かせません。
適切な安否確認が行われることで、事業の継続性を確保し、従業員との信頼関係を強化するだけでなく、何よりも人命の安全を守ることができます。
災害やその他の緊急事態に備えて、確実な安否確認体制を構築することは不可欠です。
そのためには、日頃から安否確認の訓練を行い、実際に使用するシステムやツールに慣れておくことが求められます。
避難訓練と同様に、安否確認の訓練も定期的に実施することで、より実践的な備えが可能となります。
訓練では、実際の災害時に使用する安否確認システムを活用することで、より現実的なシナリオを想定した効果的な訓練が行えます。
「anppii」は、Slackを活用した安否確認システムであり、普段から使い慣れているツールを使うことで、従業員の負担を減らし、迅速で効率的な安否確認が可能となります。
さいごに
企業が従業員や顧客の命を守るためには、万が一に備えた防災訓練が不可欠です。
人命救助だけでなく、事業継続にも大きな影響を与えるため、実践的な訓練を通じて備えを万全にすることが重要です。
私たちが提供するanppiiは、災害が発生したとき、大切な方の安否をSlackで簡単に確認できます。
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