罹災証明書について

多くの不動産所有者が心配するのは、災害で住まいが被害を受け、住み続けられなくなった場合の対策です。
再建や住み替えには多額の費用がかかるため、負担を軽減するためにも、災害後には必ず「罹災証明書」を申請しましょう。
災害は誰にでも起こり得るため、所有物件について事前に確認しておくことが重要です。

罹(り)災証明書とは?

罹災証明書は、災害による被害の程度を証明するための書類です。
市町村で災害が発生した際、被災者からの申請があれば、市町村長が被害状況を調査し、証明書を交付します。
この証明書は、自然災害(風水害、地震、津波など)や火災で被害を受けた際に、各種手続きや保険の請求、税金の減免手続きなどで必要です。
持家や賃貸を問わず、発行手数料は無料で、必要な枚数を取得できます。罹災証明書は支援策の適用判断に不可欠なため、余分に取得しておくと安心です。

なお、市町村によっては、罹災証明書ではなく、被害届出書をもとに「被害届出証明書」が交付される場合もあります。
罹災証明書が住居の被害を証明するのに対し、被災証明書は災害による物損を証明します。
車や家財などが被害を受けた場合には、被災証明書が必要です。

災害規模によって、申請受付の開始日時が異なることがあるので、市町村の担当部署に確認し、広報やホームページなどで最新情報を確認しておきましょう。
必要な書類は不動産の状況などによって異なるため、事前にチェックしておくことをおすすめします。

罹災証明書で証明される被害の程度

住宅が災害によって被害を受けた際、市町村は被害認定調査を行い、「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」「床上浸水」「床下浸水」のいずれかに判定されます。

全壊

・損壊が甚だしく、補修により住む事が困難な場合
・損害を受けた部分が住家全体の50%以上

大規模半壊

・半壊し、柱等などの大規模な補修を行わなければ住む事が困難なもの。
・損害を受けた部分が住家全体の40%以上50%未満

半壊

・損壊が甚だしいが、補修すれば元通りに住むことができる場合
・損害を受けた部分が住家全体の20%以上40%未満

一部損壊

・一部が損害を受けたが、軽微で「半壊」に至らず、補修すべき場合
・損害を受けた部分が住家全体の20%未満

床上浸水

床より上に浸水したもの及び全壊・半壊には該当しないが、土砂などにて一時的に居住することができないもの。

床下浸水

床上浸水に至らない程度に浸水したもの。

罹災証明書の申請期限について

罹災証明書の有効期限は、災害発生から約2週間から1カ月程度と比較的短めに設定されています。
これは、災害による被害かどうかの判断が時間の経過とともに難しくなるためです。
具体的な期限は自治体によって異なるため、必ず各自治体のホームページを確認してください。
大規模な災害の場合、半年から1年以内に設定されることもあります。
期限を過ぎると支援が受けられなくなるため、早めに確認し、手続きを進めましょう。
また、被災状況によっては申請が困難な方のために、緩和措置が取られる場合もあるので、その点も確認が必要です。

罹災証明書はどこで申請できるの?

自然災害で住居が被害を受けた場合は、市町村の担当部署に申請してください。
火災による被害の場合は、管轄の消防署が対応窓口となります。

罹災証明書の申請前後にまず行うべきこと

①現場写真の撮影

被害の様子を写真に記録しましょう。
これらの写真は、罹災証明書の申請や保険会社への報告にも役立ちます。

②罹災証明書の申請

罹災証明書の申請
罹災証明書の申請は、本人だけでなく、配偶者や同居の親族も行うことが可能です。
ただし、本人以外の同一世帯以外の方が受け取る場合には委任状が必要です。
申請時には、運転免許証やパスポート、健康保険証などの身分証明書の提示が求められるため、準備をしておきましょう。
代理人が申請する場合、委任状のほかに、代理人と本人の関係を証明する書類が必要です。
罹災者が委任できない場合は、3親等以内の親族や法定代理人が申請できますが、その際には戸籍謄本や登記事項証明書などの証明書類が求められます。

【申請に必要なもの】
申請の際には、印鑑、顔写真付きの身分証明書(運転免許証など)、現場写真が必要です。
事前に市町村の担当部署に問い合わせて、必要なものを確認してから準備しましょう。
もし必要な書類が消失している場合は、どうすればよいか相談しておくと安心です。

【申請から発行までの期間】
申請後、被害認定の調査を受けた職員が、内閣府の指針に基づいて認定作業を行います。
大規模災害時には市町村職員が忙しく、発行に時間がかかることもあります。
通常は1週間程度かかりますが、場合によっては1か月以上かかることもあります。

③加入している保険会社への連絡

自然災害による被害でも、火災保険を利用して建物の修理ができる場合があります。
ただし、補償内容は保険会社や契約内容によって異なるため、事前に確認が必要です。
被災した際は、保険会社に連絡し、現地調査や被害額の算定を依頼しましょう。
その際、罹災証明書や罹災届出証明書が必要になることがあります。
なお、保険会社への連絡前に家屋を解体すると、保険金が支払われない場合があるので、注意が必要です。

④後かたづけ

市町村や保険会社の現地調査が終わった後に片付けを行います。
被災した家財を粗大ごみとして処理場に搬入する際、罹災証明書があれば、ごみ処理手数料が免除されることがあります。
また、火災で燃え残ったごみを早めに処分しないと、解体工事の費用が高くなる可能性があるため、できるだけ早く処分しましょう。
粗大ごみの処分には事前予約が必要な場合が多いため、片付けを始める前に市町村の清掃担当部署に確認することをおすすめします。

⑤各種証明書の再発行手続きについて

電気・ガス・電話・水道の手続きや、証書の再発行、年金などの手続きは、市町村の担当部署に相談しながら進めます。
被災者が高齢者や障がい者の場合は、地域の民生委員にも相談しましょう。

支援内容を確認

災害に遭った際、速やかに日常生活を取り戻すためには支援を受けることが重要です。
その際に必要となる罹災証明書を事前に把握しておきましょう。
また、罹災証明書がなくても利用できる支援制度も存在します。(例:個人向け国債の中途換金など)
災害時にスムーズに支援を受けるため、前もって受けられる支援内容を確認し、準備しておくことが大切です。

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